気分が落ち込んで不安な気持ちが続いたり、喜びを感じられなくなってしまったりと、心の病気は目に見えにくいのが特徴です。
そんな心の病を患う患者に対し、どのようなケアをおこない、どうやって心の病気を癒やすのかという部分に、絶対的な正解はありません。
ただ、それを学ぶ学問として、精神看護学というものがあります。
これは、心の病気の患者が病気から回復し、その人らしさを取り戻して生活することを目的に、看護師としてどう支援実践すべきかを研究した学問です。
単に心の病気になってしまった人へのサポートだけでなく、看護の領域における心の健康維持や増進を目指す学問でもあります。
看護師は、手術前に不安を抱く患者や、強い悲しみや絶望感を抱えた患者に対し、心のケアもしなければなりません。
そういった意味では、精神看護学はすべての看護師に関係がある学問といえるかもしれません。
ただ、人はそれぞれ価値観が異なるため、マニュアル通りの対応で上手くいくわけではありません。
患者それぞれがどう生きたいと思っているのか、今どんな気持ちを感じているのかを理解したうえで、心身のケアにあたらなければなりません。
また、心の回復をサポートする過程において、患者の興味を引き出すことが、ケアの前進のきっかけになることは大いにあります。
心を閉ざした患者と距離を近づけるには、根気よく対話を続けることが欠かせません。
そのため、心の病の治療に関わる看護師は相手に動きがなくても、根気強く向き合えるタフさが必要となります。